【コラム】「俺明朝」があるって知ってる? 

書体選びは迷いますよね。エヴァンゲリオンの庵野監督もそうでした。 でも監督のお気に入り「俺明朝」があるって知ってる? 

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書体選びはは難しいものです。たとえば新聞の見出しなら書体の太さや大きさでニュースの大きさ、重大性や硬軟を表現するものだからおろそかにすることはできません。もうゴシックと明朝でいいじゃんとか思ったり、やたらたくさんの種類を使うのも散漫になるしセンスないなぁーと考えたらなかなか決まりませんね。  エヴァンゲリオンの庵野監督も書体に悩んだというエピソードがあるようです。エヴァンゲリオンは様々な研究論文が発表されていますが、島根大学教育学部紀要に小谷充先生が「『新世紀エヴァンゲリオン』の明朝体表現―映像におけるタイポグラフィの構造分析Ⅳ」という論文のなかで「エヴァ」で使われている書体の組み方、詰め方やフォント採用の経過などを細かく分析しています。  なかでも庵野監督が制作会社のDTPシステムを使って『エヴァ』の企画書を作成するときに気に入ったフォントがなかったということで、製作がはじまって最初にしたことはフォント探しだったとかー。「どうしてもぶっとい明朝が欲しい」という希望の中でみつけた「マティスEB」(フォントワークス社)がお気に入りとなり「俺明朝」となる経過の文献を紹介しています。「マティスEB」は監督に気に入られてフォント冥利につきますよね。  フォントワークス社ではのちに「エヴァンゲリオン公式フォント マティスEB」を発売(現在は販売終了)しました。ちなみに、きかんし印刷ではフォントワークス社の書体「LETS」を使用しているので「マティス」ファミリーが使用可能で「ぶっとい明朝マティスEB」もあります。印刷って意外にサブカルなのかも知れません。